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このブログ記事について

このページは、会員No.1001が2010年5月 8日 06:05に書いたブログ記事です。

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鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」 ・・・ステークホルダー

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ステークホルダー                          情報プラットフォーム、No.244、1(2008)

                    有座の器

画像出典:これは「宥座の器(ゆうざのき)」というものです。


 昔からなじみのあるグンゼ(郡是)の社名が気になりだした。その答えは「宥座の器~グンゼ創業者 波多野鶴吉の生涯」(四方 洋著、あやべ市民新聞社)にあった。

宥座(ゆうざ)は座右の意味であり、その器とは、U字型の容器が二本の柱に紐で|-U-| のように吊してあり、机上に置く道具である。

鶴吉はこれを常に眺めながら、「この器は通常は傾いている。水を注いで水が器の半ばに達すれば、正しく真っ直ぐになる。さらに注いでいっぱいにすればこんどは引っくり返る。ほどほどがよい」と自分を戒め、人に説いたのである。


  この本によれば、創業の地は京都府何鹿郡(いかるがぐん)綾部町である。今は綾部市である。当時の日本は日清戦争後の好景気に湧いていた。

しかし、この地方の生糸は「粗の魁」と言われる位に最低に粗末な品質のものであった。その理由は、この地の人々の島国根性にあり、足の引張り合いで、製糸業のまとまりを欠いていたためである。

この状況を打開するために、蚕糸業組合の結成の機運が高まり、それが郡是製糸株式会社に発展したのである。

設立の趣旨は養蚕奨励を第一とし、会社の利益よりも「郡内の養蚕戸数を5割増に、1戸あたりの収繭額を2倍に」を目標に、地域を良くすることを優先した。

 

 郡是の株主は月賦を利用した1株・2株の貧しい養蚕家が多い。鶴吉は「養蚕家は大切な株主であり、また可愛い娘の親である。

決して繭を安く買い叩かないように」「工女たちは株主で、養蚕家の大事な娘さんであり、身内と思いなさい」「人は叱ったり、見て使ったりするようではどうにもならない」とし、「郡是の社員が社内の教育によって向上すれば、何鹿郡全体の家庭の勤勉さや道徳にも好影響がある」と考えていた。

このことから、郡是は工場の顔をした学校であるとも言われたのである。


 安値で売りに出た製糸場を買取るとき、鶴吉はその目的は何かと悩み、「利益や名誉本位では怨みを招く、広く養蚕業を愛することが目的である」と自分を納得させた。

また「従業員100人の会社の社長が10の人格者であるならば、その会社が発展して1000人の従業員になれば、社長の人格も100にならなければならない」が彼のモットーであった。

 

 ステークホルダー(stakeholder)とは、英和辞典によれば「賭け金を預かる第三者」とある。

今では、「企業を取り巻く利害関係者」を意味し、出資者(株主)だけではなく、顧客も、関連業者(ビジネス・パートナー)も、全部の従業員も、地域住民も、そして国民も、過去・現在・未来の人々(人類)も、さらに地球号のすべての乗組員(生き物たち全部)がステークホルダーなのである。

 

 「白い恋人」と「赤福」のどちらがより許せないかの電話投票による調査がラジオで行われていた。老舗であることや餡の日持ちのことからか、赤福の方が分が悪いようである。

多くの食品偽装だけではなかった。防衛省の商社との癒着や社会保険庁の杜撰な年金管理などの行政の不祥事、介護事業のコムスンや英会話のNOVAの儲け一辺倒なども社会の糾弾を受けた。鶴吉のような人材は絶滅危惧種になってしまったのだろうか。

 

 「お蚕さん」(情報プラットフォーム、No.212、5(2005))で述べたように、郡是製糸は1950年代半ばに高知県から撤退している。

その工場跡地は「お世話になりました」と高知県に寄付をした。その鴨部の土地は高知西高等学校となって現在も有効に生かされている。

 

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鈴木朝夫   s-tomoo@diary.ocn.ne.jp

高知県香美郡土佐山田町植718   Tel 0887-52-5154

 

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